TOP 旅とおでかけ 豊岡駅周辺のエモくレトロな町並みと活性化への新たな試み~その1~

豊岡駅周辺のエモくレトロな町並みと活性化への新たな試み~その1~

JR豊岡駅から東西に約800m続く豊岡駅通商店街付近には、レトロでモダンな歴史的価値のある建物が点在しています。
1925年に起こった北但大震災からの復興事業として建築された、鉄筋コンクリート造の建物が今もなお残っており、独特の雰囲気を醸し出しているのです。
近くには、日本最古級の木造アーケードに覆われ、昭和初期から続く現役の市場、「ふれあい公設市場」もあります。
駅から少し歩いただけで大正から昭和の風情ある景色にタイムスリップした気分になれる場所といってもいいかもしれません。

実は今、そんな街並みを大切にし、ゲストハウスやカフェ、私設図書館などを開業する「新たな担い手」たちが豊岡に集まってきています。
地元の人も見過ごしているようなちょいエモ建物を散策しつつ、まちの活性化に向けた取り組みについてご紹介します。

豊岡稽古堂

1927年に建設された鉄筋コンクリート造の建物で、旧豊岡町役場、旧豊岡市役所本庁舎として使われていました。
復興建築のシンボルとして建築されたそうで、まちの中心地に堂々と建っています。
豊岡市役所の新庁舎建設に伴い、2012年に元あった場所から道路側に25m曳家されました。
今は、豊岡市議会議場と市民交流センターの2つの顔を持ち、会議室の貸館利用ができるようになっています。

1925年の北但大震災をきっかけとする大火事により、豊岡の市街地の大半が焼失しました。
復興にあたり新しく整備する市街地には、当時最新の文化様式や建築方式が採り入れられ、防火に重点を置いた建築補助制度により多くの耐火鉄筋構造の店舗が建築され、現在の街並みが形成されています。
豊岡駅通商店街は、この一定の期間に建てられた建築物が多く残っており、まとめて【豊岡復興建築群】と呼ばれています。

3棟連なる復興建築群

少し東に歩くと復興建築の建物が並んでいる場所があります。

写真左側が旧但馬銀行豊岡東支店として使用されていた建物です。今は使われていません。
正面入り口の両脇に街灯がついており、少しオシャレな感じです。

その右側に3棟連なっているように見える建物があります。
実はこれ、3戸で1棟の建物としてつながった形で建てられており、それぞれに意匠を凝らした窓装飾や軒下飾りが見られます。
左は窓に小さなバルコニーがついており、真ん中は窓の両側に装飾が、右には窓1つ1つにアーチのような装飾が施されています。

よく見ると、3階の上に少し茶色い部分があります。
この建物、もともと陸屋根(屋根勾配のない平面な屋根)だったのですが、積雪等を考慮して、あとから茶色い部分を付けたし勾配屋根に改造されているんだそうです。
雪の多い但馬ならではの改造です。

私設図書館 だいかい文庫

さらに東に進むと表が一面ガラス扉のお店が現れます。これは見た感じ復興建築ではありませんね。
豊岡駅通商店街の活性化に向けた取り組み1つ、【だいかい文庫】です。
中をのぞいてみましょう。

2020年12月にオープンしたシェア型の図書館・本屋さんです。
本を通じた交流により様々な人の居場所になるような場所を目指してつくられたそうです。
当然ここで読んだり、借りたり、買うこともできますし、併設のカフェもあります。

おもしろいのは、月額2,400円で「一箱本棚オーナー」になれ、自分だけの本棚を持つことができ、おすすめの本を並べることができるというところ。
そして、このオーナーさんが店番をしていることもあるのだとか。

店員さんは、だいかい文庫のスタッフだけでなく、お医者さんやアート関係者、新聞記者だったり様々。
居場所の相談や健康相談にも乗ってもらえるとのことなので、興味のある方は、スタッフに一声かけてみてください。

過去の「但馬情報特急」特派員ブログでも詳しく取材されています。
→ 豊岡のまちなかにできた小さな図書館・だいかい文庫とは?

オーベルジュ豊岡1925

さて、今度は豊岡駅側に少し戻り、豊岡市役所の向かいにある「オーベルジュ豊岡1925」にやってきました。
この建物も鉄筋コンクリート造で、外壁はタイル貼り、正面に壁柱を並べた重厚な外観になっています。
1934年に兵庫県農工銀行として建てられ、その後豊岡市役所の庁舎等として利用されていました。

現在の中の様子がこんな感じ。
2014年に改装され、ホテル&レストランとしてリニューアルしました。
結婚式や披露宴もできるそうです。

こちらも過去の「但馬情報特急」特派員ブログで詳しく取材されています。
→ 但馬近代化遺産探検・オーベルジュ豊岡1925

ふれあい公設市場

オーベルジュ豊岡1925から少し駅向き(西向き)に進むと、日本で最も古いとされる木造市場【ふれあい公設市場】の入口があります。
大正末期から昭和初期頃に整備されたもので、南北70mに連なった市場には、生花、鮮魚、天ぷら、お総菜、飲食などのお店が軒を連ねています。
近年は、豊岡に魅力を感じ移住してきた方が経営するカフェやゲストハウスなど、新たな店舗も加わっています。

内部のアーケード式の天井は合掌造りのようになっていて、光が差し込んできます。
敷石やのれんなどで町家風にしたててあり、野菜や総菜が店の前に並べられている様子は昭和レトロ感があります。

ゲストハウス「Hostel Act」&もりめ食堂

さて、公設市場の中には、ゲストハウス【Hostel Act】があります。
2020年3月にオープンし、個室2部屋、ドミトリー1部屋で、最大12人が泊まれるそうです。
豊岡駅から歩いて7分程度、まちの中心地でもあり昭和レトロな市場の中という立地も魅力的。

このゲストハウスの1F部分が【もりめ食堂】です。
特徴的なのは、ゲストハウス【Hostel Act】のシェアリビング&キッチンでありながら、地元の人がふらっと立ち寄れる定食とちょい飲みの店でもあるというところ。
「旅人と地元の人の語らいの場となって欲しい」という狙いがあるんだとか。

【Hostel Act】&【もりめ食堂】のオーナーであるお二方は、豊岡への移住者。
公設市場や豊岡市街地を盛り上げてくれています。

 

歴史的に価値のある建物を保存しつつ、まちの活性化に向けて新たな風も吹いている豊岡市。
実は、もう一カ所見学してきたのですが、長くなりましたので一旦この辺で。

 

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