日本遺産「琵琶湖疎水」の生みの親・北垣国道ゆかりの地を訪ねて
(写真提供:養父市教育委員会)
所在地:兵庫県養父市能座386
アクセス:北近畿豊岡自動車道朝来ICから車で約15分
北垣国道は能座村(現在の兵庫県養父市能座)の庄屋・北垣家の長男として生まれました。
生家跡には、樹高26mの西日本最大のカヤの木がそびえたっています。
周辺の民家と比較してもその大きさが想像できると思います。
樹齢は800年とも言われ、地元では親しみをこめて「かやのきさん」と呼ばれています。
山側の部分が空き地になっていることから、この部分に生家が建てられていたのではないかと言われています。
(写真提供:養父市教育委員会)
通常カヤの種子は外殻に直線の筋があるのに対し、このカヤの種子は左巻きの波紋になっていることから「ヒダリマキガヤ」と呼ばれています。養父郡建屋村(たきのやそん)であった頃の1951年(昭和26)に国の天然記念物に指定されたことから「建屋のヒダリマキガヤ」という名称が付けられました。
根元から二股になっている幹が裂けないよう鎖が巻かれ、枝を支えるために鉄製の支柱が立てられています。
郷土の偉人である北垣国道を顕彰するシンボルとして大切に守られていることがうかがえます。
また、ヒダリマキガヤの下に忠魂社があります。
これは明治20年頃、北垣国道が自宅に生野義挙で亡くなった8人の同志を祀ったものです。
8人とは平野国臣、美玉三平、本田素行、中島太郎兵衛、太田六右衛門、西村哲次郎、西村十右衛門、長曽我部太七郎です。
現在はコンクリート造りで再建されています。
所在地:兵庫県養父市森178
アクセス:能座集落から県道70号線を北上し車で約10分
但馬を代表する障壁画で知られる祐徳寺です。
祐徳寺住職の居住する庫裡(くり)には、能座の北垣国道の生家にあった建具などが移築されており、現在も使用されています。
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⇒養父市ホームページまちの文化財
所在地:兵庫県養父市八鹿町八鹿610
アクセス:祐徳寺から県道70号線、国道312号線などを経由し車で約25分
北垣国道が学んだ立誠舎です。
「但馬聖人」と呼ばれた池田草庵は、1843年に帰郷し、立誠舎で最初の漢学塾を開きました。
その年に、北垣国道は7歳で入門しました。
立誠舎は但馬地域に現存する最も古い学校建築で、2010年(平成22)保存修理工事が行われ、現代版寺子屋などに活用されています。
所在地:兵庫県養父市八鹿町宿南171
アクセス:立誠舎から国道312号線などを経由し車で約15分
その後、池田草庵は、1847年に生まれ故郷の宿南村に学舎「青谿書院」を建てて移りました。
北垣国道も青谿書院で学び、成人して青谿書院の塾頭にもなりました。
池田草庵はここで門人たちと寝起きをともにし、自ら模範をみせることで、知識と実行を兼ね備えた人間の育成に心を砕いたそうです。
子弟の数は全国から673人にのぼり、北垣国道のほかにも、東京帝国大学(現在の東京大学)総長を務めた浜尾新、第百国立銀行頭取となった原六郎、文部大臣を務めた久保田譲など明治時代に活躍した多くの人物がいます。
所在地:兵庫県朝来市生野町口銀谷
アクセス:青谿書院から国道312号線などを経由し車で約55分
北垣国道は、幕末期、尊皇攘夷活動に身を投じ、27歳で青谿書院を離れ、学友の原六郎らとともに生野義挙に参加しますが、わずか3日で破陣となりました。
幕末に勤王の志士と但馬の農民が一緒になって生野代官所を占領した事件を地元では「生野義挙」、日本史では「生野の変」と呼ばれています。
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⇒朝来市ホームページ歴史探訪
生野代官所跡の一角には、その歴史的出来事を後世に伝えるため、生野義挙の巨大な石碑が建てられています。
その後、北垣国道は因幡に逃れ、鳥取藩に仕官。戊辰戦争の北越征討軍に参加し、新政府から認められ、明治の新国家建設に貢献。明治12年に高知県令となり、翌年には徳島県令を兼任。
明治14年から24年まで京都府知事を務め、明治23年には琵琶湖疏水を完成させ、京都の近代化に大きく貢献しました。
所在地:兵庫県朝来市生野町口銀谷356
アクセス:生野義挙碑から徒歩で3分
生野代官所跡の近くには生野書院という、古民家を改修して開設された史料館があります。
ここでは生野義挙や生野の歴史、生野鉱山の歴史などについて知ることができます。
その中には、北垣国道が生野義挙で所持していたとされる刀が展示されています。
ただし、現在は琵琶湖疎水記念館で行われている特別展(令和3年5月9日まで)に展示されているため、刀を見ることはできません。
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⇒生野書院ホームページ
(写真提供:養父市教育委員会)
但馬に生まれ、明治政府で活躍した偉大な先人がおられることは、但馬人にとっての誇りです。
日本遺産「琵琶湖疎水」に尽力した北垣国道ゆかりの地を訪ねて、兵庫県北部の但馬地域へお出かけされるのはいかがでしょうか。