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自然が織りなすジオパークと但馬最大級の漁港・香住海岸を巡る

たじま途中下車の旅~香住駅編~

兵庫県美方郡香美町にある香住区は、松葉ガニの水揚げで知られ、冬場は観光客でにぎわいます。

そんな味覚の町としても知られていますが、但馬最大級の規模を誇る漁港の風景や風光明媚な岡見公園も魅力です。
今回はそんな香住の駅から香住海岸を自転車で巡ってみたいと思います。

 

①香住駅

香住駅は、1911年(明治44年)に城崎駅(現在の城崎温泉駅)からの延伸で開業、現在の駅舎は、1959年(昭和34年)に改築されたものだそうです

香住駅のホームに降り立つと、巨大なカニの爪がお出迎え、天井につくほどの高さです。
標柱には「きちゃったネ…」の文字が見えます。少し自虐的な感じがありますが、何が待ち受けているのか楽しみです。

改札にも、巨大なカニが掲げられています。

香住駅前

香住駅の前は、きれいに整備されています。
駅前にもやはりカニの爪が…これだけカニを見ると食べてくなってしまいますね。

香美町香住観光協会

JR香住駅から少し行くと香住観光協会があります。
観光パンフレットや案内をしていただけますよ!

今回は、こちらの観光協会でレンタサイクルを借りて巡ってみたいと思います。
途中坂があるので、できれば電動自転車が望ましいですね。

香住観光協会は、2020年9月時点では仮設の建物ですが、11月ごろから駅舎の横に移転されるそうです。

香美町香住観光協会
住所:兵庫県美方郡香美町香住区七日市404-1
営業時間:8:30~17:30
休業日:年末年始
電話:0796-36-1234
http://kasumi-kanko.com/

香住海岸へ続く道

まずは、香住駅から海へ向けて、まっすぐ伸びる道を行きます。

しおかぜ香苑の入り口

海沿いに到達し少し左に入ったところにボードウォーク(木の板張りによる道)が現れます。
この道をゆっくり進んでいきたいと思います。

②しおかぜ香苑

しおかぜ香苑のシンボルテントです。
すり鉢状の観客席が備えられた屋外ステージがあり、様々なイベントで活用されています。

こども広場などの交流広場、8000平方メートルの多目的広場(芝生)、松林、階段式護岸、トイレ、駐車場、観光案内板などが整備されており、町民の憩いの場になっています。

毎年7月に行われる「香住ふるさとまつり」のメイン会場となっており、多くの人でぎわいます。(※2020年は、新型コロナウィルスの影響により中止)

しおかぜ香苑から見た香住海岸

ボードウォークからは、香住海岸が一望できます。
自転車でゆったりすすみながら、風景を楽しみましょう。

③香住西港

しおかぜ香苑を抜けると香住漁港の西港にたどり着きます。
大小たくさんの船舶がならんでいて但馬の漁港でも有数の規模の大きさがうかがえます。

日本海の冬の味覚「松葉ガニ(ズワイガニ)」をはじめ、山陰海岸の夜をともす漁火漁の「活きイカ」など豊富で鮮度の良い魚が一年を通して水揚げされます。

関西では香住漁港だけで水揚げされるベニズワイガニは、「香住ガニ」と呼ばれ、松葉ガニよりも長い漁期(9月1日~翌5月31日)で、リーズナブルに味わうことができてオススメです。

香住漁港は、北前船が往来している時期はそれほど大きな港ではなかったそうです。
明治時代の終わりごろから昭和の初めにかけて、それまでの帆船から発動機付きの大型漁船による底曳網漁に転換をはかり漁業の近代化を成し遂げました。
そんな香住漁港の近代化につくしたのが漁協組合長を務めた長 熈・長 耕作の父子で、香住西港の片隅には、漁港を見渡すように顕彰碑が建てられています。

④漁協直営・遊魚館

香住漁港のセリ場と同じ敷地内に漁協直営店「遊魚館」があります、セリ落とした魚やカニを数分で店に並べることができ鮮度は抜群です。
店舗内にはカニ茹で場もあり、茹でたてのカニもすぐ店頭に並ぶそうです。

漁協が開発した新しいタイプの調味料「麹の魚醤」や、その魚醤を使った「かにしょうゆソフトクリーム」など面白いお土産に出会えます。

遊漁館
営業時間:8:30~12:00
住所:兵庫県美方郡香美町香住区若松748番地
休日:毎週火曜日、土曜日(年末年始は12/31~1/4が休日)
http://www.jftajima.com/store/

 

 

岡見公園の入り口

香住西港をすすんでいくと鳥居が見える路地があります。
岡見公園のある市杵島(いつきしま)です。
島という名前がついていますが、かつて島であったのが川から運ばれてきた土砂によって陸続きになり、半島のような形になっています。

船の遊具のある保育園

鳥居をくぐって坂道を登っていく途中の保育園には、港町らしい船の遊具があります。

⑤八坂神社

岡見公園周辺地域の氏神様である八坂神社です。
地元の漁師らが豊漁や航海の安全を祈願して、7月には神輿巡業、10月に秋の例祭が行われます。秋の例祭では兵庫県の重要無形文化財に指定されている「三番叟」が奉納されます。
境内には、地域の方から寄進された石灯篭などが所狭しと並んでおり、八坂神社への信仰のあつさがわかります。

⑥岡見公園

山陰海岸国立公園や国指定の名勝でもある岡見公園。
この公園の高台からの眺望はすばらしく観光スポットとなっています。
また、7月頃の夕方にはユウスゲが一面に咲き目を楽しませてくれます。

ユウスゲについては、但馬情報特急の過去ブログを参考にしてください。

「ユウスゲ咲く岡見公園」(2018年7月21取材)

 

岡見公園のシンボル石燈籠

岡見公園のシンボルとして石灯篭が置かれています。

この場所は江戸時代には、北前船に対する日和見山(船が出航すると時に天気を見る場所)の役割も担っていたと考えられています。

岡見公園の断崖

また岡見公園のダイナミックな断崖からは、美しい柱状節理(縦の割れ目)を見ることができます。
日本海が拡大した後に噴出したマグマが冷え固まってできたとされています。
この場所は、壮大な大地の動きを感じることのできる山陰海岸ジオパークを体感できる場所でもあります。

 

⑦絶景の見えるカフェ「岡見」(旧岡見亭)

岡見公園の燈籠近くに、古民家カフェがあります。
築約90年の「岡見亭」と呼ばれる料亭、旅館であった建物をカフェやレンタルスぺ―スとして活用されているそうです。

カフェの建物にはいるとそこには日本海が一望できるパノラマの絶景が広がります。
お店の方によるとこの景色がもったいなくて何とか活用できないかとはじめられたそうです。

絶景を眺めながら、ドリンクで一息つく贅沢なひとときが味わえます。

事前にお願いすれば、お昼のお弁当も注文することができるようです。
さらにヨガや展示会、音楽練習などレンタルスペースとしても使用されています。

カフェ・レンタルスペース「岡見」
10:00~17:00
3月から10月は木曜定休、11月から2月は土日月祝のみ営業。
https://www.facebook.com/rentalspace.okami/(岡見フェイスブックページ)
岡見公園の石仏

旧岡見亭を出て道路沿いに進むと山手側に小さな石仏が安置されているのがわかります。
これは、明治後期につくられた四国八十八カ所巡礼の石仏で、香美町香住区内に八十八か所あり、この岡見公園周辺には1番~9番の石仏が安置されているそうです。

香美町立天文館

石仏からさらに道路に沿って行くと町立の香住天文館があります。
こちらでは定期的に星空観察などが行われているそうです。

⑧香住東港

天文館から道路沿いに行き少し下っていったところで左側に香住東港が見えてきます。

香住東港に停泊しているイカ釣り船(大きなランプのようなものがついている)を見ながら港にかかる橋をわたります。

香住東港には、香住海岸の絶景スポットを小型船で巡る「香住海上GEO TAXI」の乗り場があります。
小型船で巡るため、大きな船では難しい洞門にも入ることができるなど自然の神秘を間近で感じることができます。

かすみ海上GEO TAXI
運行期間:4月1日~9月30日まで(天候不順の場合は、欠航です)
https://kasumi-geo-taxi.com/about.html

香住高等学校の実習船「但州丸」

兵庫県のマークが見える大きな船が港に停泊していたら、それは、兵庫県立香住高等学校の実習船「但州丸」です。
現在は、6代目で高校の実習のほかに、水産庁の海洋資源調査や災害支援活動、急患搬送などでも活躍するそうです。

香住高等学校が実習で北太平洋などで捕獲したマグロなどの一部は、缶詰として販売され地元でも大人気です。

⑨ジオパークと海の文化館

このサイクリングのゴールである「香美町立ジオパークと海の文化館」に到着です。
香住海岸を中心とした山陰海岸ジオパークについて学ぶことができます。

 

また、海とともに発展してきた漁業のまち香住の「海の文化」を学べる2Fフロアでは、北前船の歴史や伝統的な漁具、カニやイカ漁の様子などのほか、日本海に生息する魚類をはく製等により紹介しています。

香美町立ジオパークと海の文化館
入館料:無料
開館時間:9:00am〜5:00pm
休館日:毎週水曜日(祝/祭日の場合は翌日)、12月29日〜翌年1月3日
http://geo-umibun.jp/

番外編:今子浦のかえる島

番外編として、自転車であと10分ほど海岸線を行くと今子浦海岸にたどり着きます。
岩の形が蛙に見える「かえる島」や山陰海岸の大自然を体感できる「大引きの鼻」などが楽しめます。

かえる島は昔から「航海から無事に帰える」と船員たちが安全を祈願したそうで、今でも「失くしたものが返る」「若返る」などの願い事が叶う場所とされています。

 

今子浦海岸からの夕日(せきやんさん撮影)

さわやかな風を感じながら香住海岸を自転車で駆け抜けてきました。
松葉ガニや海の幸を味わうことも魅力ですが、香住が長年生業としている漁業の営みの風景に触れたり、
自然が織りなす壮大なジオパークの迫力を体感することも大きな魅力でした。

 

たじま途中下車の旅~香住駅編~散策マップ

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