TOP 旅とおでかけ いくつもの時代が交錯する山陰街道分岐点の町・矢名瀬を歩く

いくつもの時代が交錯する山陰街道分岐点の町・矢名瀬を歩く

たじま途中下車の旅~梁瀬駅編~

兵庫県朝来市山東町にある矢名瀬地区。
その昔、但馬から丹波、京都、奈良へと続く「山陰表街道」、京都亀岡へ向かう「山陰裏街道」、西国巡礼者が姫路の書写山圓教寺から天橋立の成相寺を目指した「なりあい道」の3つの道が重なり栄えたまちです。
また、丹波との国境にある遠阪峠の手前に位置することから、江戸時代、参勤交代の大名行列が休息地として本陣を構えました。まさに、但馬の玄関口とも言える交通の要衝であり、宿場町として賑わったそうです。
それでは、いくつもの時代が交錯する山陰街道分岐点の町・矢名瀬を散策してみましょう。

①梁瀬駅駅舎

スタート地点であるJR山陰本線梁瀬駅駅舎です。
駅舎は、一部補修や改装もみられますが、1910年(明治43)に建設された当時の面影を残した駅舎です。
また、山陰本線でも木造の駅舎が残っているのは珍しく、1908年(明治41)に開業した養父駅とよく似たレトロな雰囲気が漂います。

参考記事
「たじま途中下車の旅」~養父駅編~

②長栄寺

梁瀬駅を右手に7分ほど歩くと、長栄寺に到着します。
「旅立ちの法然像」が目印です。

前方にJR山陰本線の高架

参道の上をJR山陰本線が通っており、非常に珍しい光景です。
本堂には、前方に見えるJR山陰本線の高架をくぐります。

高架をくぐると

高架をくぐると山門が現れます。
長栄寺は、大衆娯楽、おやまの道中・皿まわし・刀芸など大神楽の興行が行われたお寺として知られています。
また、伊勢の大神楽が興行中に誤って刀が喉に刺さり命を失ったことがあり、その後追善供養の興行が行われていたそうです。

③圓照寺

長栄寺を左手に出るとすぐに圓照寺に到着します。
圓照寺の山門にある寺号の額は、江戸中期の華厳宗鳳潭の筆によるもので、旧仏教徒が新仏教である浄土真宗の寺号を書いたことは大変珍しいそうです。

国道9号線を横断すると

圓照寺さんを左手に進み、国道9号線を横断し少し歩くと此の友酒造さんが見えてきます。

④此の友酒造株式会社

銘酒「但馬」で知られる此の友酒造さんは、1690年(元禄3)創業の伝統ある造り酒屋です。
こちらで造られる「大吟醸」は、北近畿で唯一全国新酒鑑評会において6年連続金賞を受賞されています。
詳しくはこちら
此の友酒造株式会社ホームページ

軒下に吊り下げられた大きな玉

此の友酒造さんの軒下に茶色い大きな玉が吊り下がっています。
「杉玉」と呼ばれるもので、昔は新酒ができた時に新しくし、杉玉の色の変化でお酒の成熟度合がわかったそうです。

⑤旧街道の町並みその1

此の友酒造さんを出て、右手に歩くとすぐに旧街道の町並みが広がります。
江戸時代に創業された2つの造り酒屋が矢名瀬の町並みに大きな存在感を示しています。
また、かつてこの通りには、村役場や郵便局、銀行があり、梁瀬駅からうどん屋、自転車屋、畳屋など多くの商店が軒を並べ、盆と正月には「やなせ市」と呼ばれる大きな市が開かれ、賑わいを見せていたそうです。

道路元標

三叉路の角には「梁瀬村道路元標」がひっそりと佇んでいます。
但馬から丹波、京都、奈良へと続く「山陰表街道」と京都亀岡へ向かう「山陰裏街道」との分岐点であることを示しています。

⑥田治米合名会社

道路元標を左折すると田治米さんが見えてきます。
田治米さんは、1702年(元禄15)創業の伝統ある造り酒屋で、「竹泉」の銘酒で親しまれています。
詳しくはこちら
田治米合名会社ホームページ

また、江戸後期の旧醤油蔵、明治・大正期の木造酒蔵、昭和期のRC造清酒工場などは、白壁で統一され、創業家住宅の板壁と赤土塗り壁とともに、酒造施設が地域を代表する景観の核を成しているということで、2020年に兵庫県の景観形成重要建造物に指定されました。

朝日橋を渡り

旧街道に戻り、道なりに進むと、磯部川に架かる朝日橋を渡ります。

⑦磯部川

磯部川はホタルや紅葉など四季折々の風情が楽しめる川です。
特に秋はオススメの散歩道で、田治米さんの白壁と近くを流れる磯部川沿いの紅葉が見事なコントラストを見せます。

関連記事 2020.11.13投稿
2020但馬紅葉だより~見ごろを迎えました 朝来市山東町編~

⑧旧街道の町並みその2

朝日橋を渡り、道なりにしばらく歩くと大正・昭和の時代にタイムスリップしたかのようなレトロな雰囲気に包まれた町並みに出会います。
先ほどの江戸時代の造り酒屋を中心とした旧街道の町並みと同じ山陰街道ですが、橋を挟んで違った味わいのある町並みを楽しむことができます。

矢名瀬陣屋

矢名瀬陣屋は、地域活性化の中心施設として古い空き店舗を昔のように復元したものです。
普段は矢名瀬ギャラリーやこども見守り隊の詰所などに利用されているそうです。
掲示されている映画のポスターが昭和感を醸し出していますね。

昭和子供館(旧天野商店)

旧天野商店の空き店舗を利用して、まちなかミュージアム「昭和の子供館」が開設されています。

懐かしい看板やショーウィンドウ越しに昭和の電化製品を見学することができます。

ふじおミニ鉄道資料館

まちなかミュージアムとして、明治時代からの貴重な鉄道資料が展示されています。
開館日は不定期なので、見学を希望される方は事前に連絡をお願いします。
連絡先 090-6758-3589

⑨宮谷商店

旧街道の町並みを眺めながら歩いていくと、今回の散策のゴール地点である宮谷商店さんがあります。
宮谷商店は、大正時代から残る古い建物の小さな酒屋さんです。

趣のあるショーウィンドウ

今は製造されていない日本酒の瓶などが展示されていて、とてもレトロな雰囲気です。

散策を終えて

車の行き交う国道9号線・国道427号線から少し路地に入ると、いくつもの時代にわたり人々が行き交ってきた姿を彷彿とさせる町並みが今でも大切に残されていました。
お酒も含めてゆっくりと散策したくなる町です。

 

たじま途中下車の旅~梁瀬駅編~散策マップ

その他の「たじま途中下車の旅」ブログはこちらのバナーから↓

Recommend あなたにおすすめ