【2023】京都府・睡蓮(スイレン)と蓮(ハス)の名所
初夏から盛夏にかけて、水辺で美しい花を咲かせる「睡蓮(スイレン)」と「蓮(ハス)」。モネの名画でおなじみの睡蓮も、仏教とゆかりの深い蓮も、日本で古くから親しまれてきました。いずれも午前中の涼しい時間帯が見頃なので、花の観賞と合わせて朝の清々しい空気感を味わうことができるでしょう。
今回は美と涼を一度に楽しめる、京都府内の睡蓮&蓮の観賞スポットを一挙にご紹介します。
睡蓮(スイレン)と蓮(ハス)ってどう違うの?
睡蓮と蓮はどちらも水辺で育つ水生植物で、姿かたちもよく似ていますが、実はそれぞれ違う植物です。スイレン科スイレン属の睡蓮は、光沢と切れ込みのある葉を持ち、花が水面に浮かんでいるように咲くのが特徴。日中に花を咲かせて午後には閉じてしまいます。一方、ハス科ハス属の蓮は、葉に光沢や切れ込みがなく、水面よりも高い位置で花が咲きます。早朝からゆっくりと咲き始め、お昼頃には花を閉じてしまうのが特徴です。
どちらも品種改良によって花の色や大きさの違ったものが増えていますが、基本的な違いを押さえておくと簡単に見分けることができますよ。
巨椋池ゆかりの貴重な蓮を展示
【宇治市】宇治市植物公園
見頃:睡蓮 6月中旬〜9月中旬 / 蓮6月下旬〜7月中旬
約20品種の睡蓮と約170品種の蓮を楽しむことができる「宇治市植物公園」。それぞれの花が別の種と交配しないように、品種ごとに鉢の中で育てられています。鉢ごとに名札も付けられているので、間近で花の名前を確認しながらじっくりと観察できます。
なかでも蓮の花は、時間の経過とともに花の色が変化する「巨椋の曙(おぐらのあけぼの)」や、花弁の多さが印象的な「請所の本紅(うけしょのほんべに)」など、昭和初期の干拓で消滅した蓮の名所「巨椋池」由来の品種が約80種類も含まれています。そのうちの54品種は2019年に日本植物園協会の「ナショナルコレクション」に認定された希少品種です。
今年(2023年)は蓮の見頃に合わせて下記のイベントも予定されています。
◉観蓮会と象鼻杯(※)
日時:7月15日(土)〜17日(月)7:00〜9:00
内容:7:30〜蓮の案内、見どころ紹介/8:00〜象鼻杯
定員:観蓮会は参加自由、象鼻杯は各日先着30名
料金:観蓮会は無料(入園料のみ)、象鼻杯100円(ミネラルウォーターの場合は50円)
※象鼻杯(ぞうびはい)とは、蓮の葉をロウト状にして高く掲げ、そこにお酒を注いで飲む、古代中国由来の風習。その様子が、象が鼻を上げている姿に似ていることから、その名が付いたといわれています。
また、園内の修景池では「京都府レッドデータブック2015」で絶滅危惧種に指定されている、黄色い小さな花が可愛らしい「アサザ」も見ることができるので、ぜひ一緒に楽しんでくださいね。
<周辺立ち寄りスポット>
・京都府立山城総合運動公園
・ボウケンノモリ 太陽が丘店
■■INFORMATION■■
宇治市植物公園
住所:京都府宇治市広野町八軒屋谷25-1
TEL:0774-39-9387
開園時間:9:00〜17:00(16:00受付終了)
入園料:大人600円、小・中学生300円、幼児無料
休園日:月曜(祝日の場合は翌日休園)、12月28日〜1月4日
交通アクセス:京阪「宇治」駅下車・JR奈良線「宇治」駅下車、京都京阪バス240・240A・250・250A系統「近鉄大久保」行き、「植物公園」停留所下車すぐ
駐車場:あり(普通400円/大型1500円)
HP:https://uji-citypark.jp/botanical/
お寺の清澄な空気に包まれて蓮観賞
【綾部市】楞厳寺(りょうごんじ)
見頃:蓮 7月中旬〜8月上旬
「関西花の寺二十五ヵ所」の第2番札所として知られる「楞厳寺」。春のミツバツツジに続き、夏は白やピンクの蓮の花が境内を美しく彩ります。およそ100年前に檀家さんによって数株の蓮が植えられたのが蓮園の始まりで、一時は原因不明のまま全滅してしまいましたが、2012年に檀家さんが新しく苗を植え付け、より多くの種類を楽しめるようになりました。
蓮園を取り囲む畦道にも入ることができ、自然の中に溶け込んだ蓮の美しさ間近で観賞することができます。四方全体をめぐりながら、お気に入りのビューポイントを探してみてくださいね。
ちなみに、楞厳寺から車で5分ほどの距離にある「綾部ふれあい牧場」は、蓮とほぼ同じ時期に花を咲かせるひまわりの名所です。水辺でしっとりと咲く蓮と、太陽の下で朗らかに咲くひまわり。2か所をめぐって、夏の花を満喫してみてはいかがでしょう。
<周辺立ち寄りスポット>
■■INFORMATION■■
楞厳寺(りょうごんじ)
住所:京都府綾部市舘町楞厳寺6
TEL:0773-47-0043
時間:見学自由
交通アクセス:JR山陰線「綾部」駅から車で約15分、京都縦貫自動車道「綾部」ICから車で約10分
駐車場:あり(普通車30台)
悠久の時を超えてよみがえった古代蓮
【綾部市】極楽寺
見頃:蓮 7月中旬〜8月初旬
綾部市白道路(はそうじ)町にある極楽寺は、大変珍しく貴重な日本の古来種「大賀(おおが)ハス」で有名なお寺。大賀ハスは、昭和26(1951)年に千葉市検見川で故・大賀一郎博士が古代ハスの三粒の種を発見し、そのうちの一粒から増やされたものだといわれています。
発見の翌年には見事に花を咲かせ、2000年の眠りから目覚めた蓮に、生物の奇跡として世界中が驚きました。さらに翌28年にはドイツの国際園芸博覧会でも開花。「大賀ハス」と名付けられ、国際的にも認められた希少な品種です。その後、千葉県が所持していた種数粒が極楽寺に寄進され、毎年大輪の花を咲かせています。
<周辺立ち寄りスポット>
・楞厳寺
■■INFORMATION■■
極楽寺
住所:京都府綾部市白道路町鎌倉田34
TEL:090-1070-9528(大槻さん)※お寺の総代さん
時間:見学自由
交通アクセス:JR山陰線「綾部」駅から車で約15分、京都縦貫自動車道「綾部」ICから車で約10分
駐車場:あり(普通車10台)※法要など催事で混み合う場合があります
睡蓮と蓮が共演する歴史ある神苑
【長岡京市】長岡天満宮 八条ヶ池
見頃:睡蓮 6月中 / 蓮 7月上旬〜下旬
長岡天満宮境内の東側に広がる「八条ヶ池」は、寛永15(1638)年、桂離宮を造営した八条宮智忠親王によって築造されました。さまざまな水生植物が集う西池には、例年5月中旬から9月にかけて睡蓮が咲き、水面に可憐な姿を映し出します。
睡蓮よりも少し遅れて咲き始める、まるんっとしたフォルムがかわいい蓮は「西湖紅蓮(さいここうれん)」という品種。長岡京市の友好都市・中国浙江省寧波市から贈られた当初は約150株でしたが、現在では300株ほどに増えています。
八条ヶ池を彩る睡蓮と蓮のロマンチックな花畑は、早朝が狙い目です。ただし、西池に向かう水上橋の通行は朝7時からとなるのでお気を付けくださいね。
<周辺立ち寄りスポット>
■■INFORMATION■■
長岡天満宮 八条ヶ池
住所:京都府長岡京市天神2丁目地内
TEL:075-955-9515(長岡京市役所商工観光課)
水上橋のゲートの開閉時間:4〜9月は7:00〜18:00
交通アクセス:阪急「長岡天神」駅から徒歩約10分
駐車場:境内にコインPあり
京都府内唯一のオニバスの自生地
【亀岡市】平の沢池
見頃:蓮 7月上旬〜8月上旬 / オニバス8月
上池・中池・下池の3つの池からなる亀岡市の「平の沢池」は、希少な水生植物の住む池として、また渡り鳥の飛来地としてもよく知られています。
下池の東側(平の沢交差点北東側)に蓮が密集しており、毎年7月から8月にかけては一面蓮の花づくしに。池を縦断する「水鳥のみち」からは迫力ある全景が眺められ、遊歩道に下りて間近で楽しむこともできます。
また、中池では京都府内でこちらの池だけに自生している、蓮に似たスイレン科の「オニバス」を見ることができます。オニバスは絶滅が危惧されている水生植物で、全体が鋭く硬いトゲに覆われているのが特徴です。早朝に赤紫色の花を咲かせ、午後には閉じ、2〜3日の間に水中に沈んでいきます。芽吹いても水温や風の状況によって花が咲かない年もあるので、開花情報についてはJR亀岡駅観光案内所にお問合わせください。
<周辺立ち寄りスポット>
■■INFORMATION■■
平の沢池
住所:京都府亀岡市馬路町
TEL:0771-22-0691(JR亀岡駅観光案内所)
時間:見学自由
交通アクセス:JR嵯峨野線「亀岡」駅から亀岡ふるさとバスで「池尻」停留所下車徒歩1分、京都縦貫自動車道「千代川」ICから車で約8分
駐車場:あり
地域住民が育て上げた多彩な睡蓮と蓮
【宮津市】水生動植物公園 花蓮の里
見頃:睡蓮 7月上旬 / 蓮 7月上旬〜下旬
宮津市北部の日ヶ谷(ひがたに)地区にある「水生動植物公園 花蓮の里」は、地区住民によって維持管理されている自然豊かな公園。もともと休耕地だった土地を整備して蓮を植えたことが始まりだという園内には、約15種類300株の睡蓮と、約35種類2000株の蓮が植えられています。
池の間には遊歩道が整備されており、すぐそばで花を観賞できるのも嬉しいポイントです。なかには約2000年前(縄文時代)の地層から発掘された種を育成した希少な品種「大賀ハス」の姿もあります。
毎年、見頃の時期には地元の人だけでなく京阪神から約400人が訪れるそう。今年は蓮の見頃に合わせて、音楽や地元グルメも楽しめる「観蓮会」が開かれる予定です。
◉観蓮会
日時:7月23日(日)10:00〜14:00
内容:飲食コーナー、演奏会など
料金:入場無料
※小雨決行(荒天時は予告なく中止あり)
<周辺立ち寄りスポット>
■■INFORMATION■■
水生動植物公園 花蓮の里
住所:京都府宮津市日ヶ谷5126
TEL:0772-27-1911(花蓮の里同好会 土井さん)
時間:見学自由
交通アクセス:京都縦貫自動車道「与謝天橋立」ICから車で約30分
駐車場:あり
睡蓮&蓮とともに南山城の夏景色を満喫
【精華町】けいはんな記念公園
見頃:睡蓮 7月上旬 / 蓮7月下旬
関西文化学術研究都市の建設を記念して整備され、平成7(1995)年に開園した「けいはんな記念公園」。有料エリアの回遊式庭園「水景園」は、南山城地域の里の風景をイメージして作られており、長さ123mの観月橋や遊歩道から四季折々の景色を楽しむことができます。5月から8月にかけては、棚田状の水盤が広がる「水景棚」の一角に、白とピンクのかわいい睡蓮の花が代わる代わる咲き始めます。
また、小さな区画で管理されてはいますが、睡蓮の隣の水盤には7月下旬から蓮の花もお目見え。水景棚は沢飛石を歩いて渡ることができるので、水音や初夏の心地よい風を感じながら、睡蓮や蓮の花を満喫してくださいね。
<周辺立ち寄りスポット>
■■INFORMATION■■
けいはんな記念公園
住所:京都府相楽郡精華町精華台6-1
TEL:0774-93-1200
開園時間:9:00〜17:00(16:30受付終了)
入園料:一般200円、小・中学生100円、未就学児無料/60歳以上は証明書提示で無料
休園日:年末年始(ほか臨時休園あり)
交通アクセス:JR「祝園」駅、近鉄「新祝園」駅より奈良交通バス56系統(学研奈良登美ヶ丘駅行きなど)乗車、「けいはんな記念公園」もしくは「公園東通り」停留所下車、徒歩約9分
駐車場:あり(普通400円/大型1500円)
※その他のアクセス方法は下記のアドレスからご確認ください。
https://keihanna-park.net/access/
HP:https://keihanna-park.net/
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