秋はクマ、時々ハチとサルにご注意を!! ~京都府から害獣対策と注意喚起~
秋の風が心地よくなってきましたね。この季節、トレッキングやハイキングを楽しむ人も多いのではないでしょうか? ところで近年、京都府北・中部地域の山林や山里を中心に、ツキノワグマの目撃情報が多く寄せられているのをご存知ですか? 実は秋ってクマが冬眠に備えて活発に活動するので、うっかり遭遇しないように注意が必要な季節でもあります。
まずはクマについて知ろう!
日本に生息するクマは“ヒグマ”と“ツキノワグマ”の2種類。ヒグマは北海道、ツキノワグマは本州・四国の山地を生息地としています。京都府で出会うクマは“ツキノワグマ”。成獣の大きさは120~145cm程で、体重は約60~80kg。中には100kgを超える大きさのクマもいます!! 走るスピードは時速約40キロメートル。手の平には弾力性の肉球があるため、物音を立てずに歩くことができますが、爪は猫のように引っ込めることができないので、足跡には爪跡が残ります。クマは積極的に人を襲う動物ではありませんが、突然人と遭遇したり、仔連れの場合は襲うことがあるので注意が必要です。
クマ最大の感覚器官は「嗅覚」で犬並みといわれています。食の好みは雑食で、蜂蜜などの甘いものが大好き! 腐った肉などにも興味を示します。移動範囲は非常に広く、約40~70平方キロメートル(東京ドーム約856個分〜1497個分)。一定の地域を季節を通じて移動します。
一年の過ごし方は春にタケノコ・昆虫・山菜などを食べ、6月頃に繁殖期を迎え、夏は蜂蜜などを好んで食べます。秋は冬眠の準備にどんぐりや栗などの炭水化物を多く取り、12月~3月頃の冬眠に備えます。この時、十分に栄養を取ることができたメスだけが冬眠中に出産することができます。
クマはこんなところで目撃されてる!
京都府では北・中部の果樹園や集落周辺での出没が確認されています。その他、山林近くの通学路、お墓などお供え物のある場所やタケノコ畑、人家近くの柿の木や蜂の巣がある場所など、人の生活圏に近いところでも確認されています。これらの出没情報は地図情報システムを利用して、クマの目撃や痕跡があった地点をマップに表示した「京都府内のクマ目撃情報マップ」を公開しています。
クマに合わないためにどんな対策が有効か?
山林に入る時は、まず目的地の「京都府内のクマ目撃情報マップ」や「府広域振興局」、「市区町村」のホームページなどでクマの出没情報を集め、情報があったところにはなるべく近付かないようにしてください。クマは嗅覚や聴覚が優れており、人よりも先に人間の接近を知れば遠ざかるといわれています。クマ除けの鈴やラジオなど、音の出るもので自身の存在を知らせるようにするのが有効的です。
もし、新しいクマの足跡や糞、仔グマの姿を見たら近くに親グマが必ずいるので、近付かずその場を離れてください。また、霧や雨風などの悪天候や、川の近くではクマの感覚機能が発揮されず、人に接近してしまうことがあります。早朝や夜間もクマの行動が活発になる時間帯ですので、出会う確率が高くなり、十分注意が必要です。
もしクマに出会ってしまったら!!
遠くにクマがいることに気付いた場合は、落ち着いてそっとその場から離れてください。大声や物を投げる、突然走って逃げる、フラッシュを使って写真を撮る行動は、クマが驚いて襲いかかってくる場合があります。
近くにクマがいた場合は、クマを見ながら背を向けずにゆっくりと後退してください。距離をとることはお互いの興奮を鎮める効果があるので、できるだけ落ち着いて離れ、クマを興奮させないようにしてください。また、背中を見せて逃げると本能的に襲ってくることがあるので、十分に離れるまで背中を向けて逃げるのは厳禁です!!
すぐ近くにいた場合、まずは冷静に慌てないでください。人の急な行動でクマが驚き襲ってきます!! 冷静に慌てず、クマが立ち去ってからその場を離れてください。もし襲ってきたら、顔や頭をガードして、大怪我を避けるように身を守ってください。
どのタイミングでも共通して大切なのは、クマを驚かせないように人間は落ち着いた行動をとるということです。とはいえ、実際目の前にすると頭でわかっていても本能的に一目散に逃げたくなるのが人の心情…。なにより出会わないための対策が大切ですね。
クマだけじゃない! ハチやサルにも気をつけて!!
ここまでクマについての注意喚起をさせていただきましたが、楽しく安全な時間を過ごすために、ハチやサルなどによる被害からも身を守るよう注意してください。
ハチに刺されないためには
ハチの巣には近付かず、肌の露出を避けた白っぽい服装が対策として有効です。もし刺されたら、近くに巣がある場合は体を低くして巣から遠ざかってください。刺された箇所を流水で洗い、傷口から毒を絞り出して患部を冷やし、医師の手当を受けてください。もし、刺されて数分で気分が悪くなったり、動悸・発疹の症状、一度に多数のハチに刺された、目に毒液が入ったなどの場合はすぐに病院に行ってください。また、過去ハチに刺された経験がある人の一部に「アナフィラキシーショック」の症状が起こる場合があるので、十分に気をつけてください。
野生のサルに遭遇した場合には
野生の猿は人になれていないので、近付くと襲ってくることがあります。サルに遭遇した場合は不用意に近付かず、後ずさりして離れてください。視線を合わせると、威嚇されたと思い襲ってくる場合があります。また、大声や、棒を振り回すなどの行為はサルを興奮させる危険な行為です。もし噛まれたり、引っ掻かれた場合はすぐに病院に行ってください。
野生動物などに餌をあげてしまうと、人になれ、家に侵入する被害が生じる可能性があります。特にそのような環境が残る場所に立ち寄る際には、食べ物のゴミなどを必ず持ち帰るようにし、山林・山里近辺でも、安心安全な季節を過ごせるように気をつけましょう。
■■記事協力■■
京都府 農林水産部農村振興課