【京都の学校給食】京丹波町の名産”丹波くり”で笑顔あふれる給食タイム
秋晴れの気持ちの良い日、京丹波町立和知小学校のランチルームからは、子どもたちの元気な声が聞こえてきます。秋の味覚の王様「丹波くり」を使った給食が子どもたちを笑顔に♪
今回は和知小学校の栄養教諭の先生方に、丹波くりの魅力や食育への取り組みについてお話を伺いました。
※記事中の情報はすべて2024年11月時点のものです。
【解説】大粒でずっしり!栗の王様「丹波くり」とは?
丹波くりの歴史と甘さの秘密
秋の味覚の王様といえば、栗。 そして、栗の産地として特に有名なのが、京都府、兵庫県、大阪府にまたがる丹波地方です。そこで採れる栗は「丹波くり」と呼ばれ、その歴史は古く、なんと縄文時代から栽培されていたという説も!古くは朝廷や幕府への献上品として重宝されていたという、由緒正しい栗なんですよ。
丹波くりは、他の栗に比べて大粒で、ずっしりとした重みが特徴です。ひと口食べれば、上品な甘さとホクホクとした食感が口いっぱいに広がります。
丹波地方の気候は、栗の栽培に最適。昼夜の寒暖差が大きいことで、栗の実に糖分がたっぷり蓄えられ、甘みが強く、ホクホクとした食感が生まれるんです。
丹波くりの楽しみ方
丹波くりは、栗ご飯や焼き栗はもちろん、栗きんとんやモンブランなどさまざまなお菓子にも重宝されます。これからの時期は、おせち料理にも活躍します!丹波くりの甘露煮を使って作る栗きんとんは、おせち料理の定番。歴史が育んだ、栗の王様「丹波くり」を、ぜひ一度味わってみてください。
秋は栗ごはん!京丹波町の豊かな恵みを味わう給食
毎日ランチルームへ!全校児童で給食タイム
京都府中部に位置する京丹波町にある和知小学校では、地元の食材をふんだんに使った給食を提供しています。全校児童78名と職員全員が、広々としたランチルームで一緒に給食を食べる風景は、和知小学校ならではの伝統の光景です。学年ごとに力を合わせて給食の準備をします。
特に秋には、地元名産の丹波くりを使った「丹波くりご飯」が登場! ランチルームには、栗ご飯の甘い香りと子どもたちの「おいしい!」という笑顔があふれています。
この日の献立は、栗ご飯、ホッケの塩焼き、京丹波ぽーくの味噌汁、秋のタルト、牛乳です。
栗の甘みを引き立てる、シンプルな味付けに
今回お世話になったのは栄養教諭の高位先生(左)と辻本先生(右)のお二人。
まずは栄養教諭の高位先生にこだわりポイントを聞いてみると、丹波くりご飯は塩と酒だけで味付けをし、栗本来の甘みを感じられるように工夫しているとのこと。主菜や汁物の味付けも控えめにすることで、栗の風味がより一層引き立つのだそう。
こちらは、栗ご飯の調理工程。ふんだんに丹波くりを使っています。
試食させていただいたところ、どこを食べても栗!!栗の甘みが口いっぱいに広がり、ホクホクとした食感がたまりませんでした。主菜や汁物の味付けも優しく、全体のバランスがとれており、栄養面だけでなく、味にもこだわっていることが伝わってきました。
美味しそうに栗ご飯をほおばる子どもたちから、たくさんの感想が寄せられました。一部ご紹介します!
「栗ご飯がすきじゃなかったけど食べたらおいしくてびっくりしました。」(5年)
「今日の献立は『秋』をテーマにしたことがとても伝わりました。栗ご飯は『旬』という味でとってもおいしかったです。」(4年)
「栗ごはんが美味しかったです。また給食に出してください」(2年)などなど。
高位先生は、子どもたちの感想を受けて、「秋を代表する丹波の味覚を堪能してくれてよかったです。食からも季節を感じ、心豊かな子どもたちに育ってほしいと思います」と嬉しそうに話してくれました。
「食の宝庫」を支える地元生産者との連携を大切に
丹波くり、京丹波黒豆(上写真)、松茸、丹波大納言小豆・・・と、京丹波町は「食の宝庫」と言われるほど、美味しい食材が豊富。和知小学校では、子どもたちに地元食材の美味しさをさまざまな献立を通して、味わうこと・知ってもらうことをとても大切にしています。
「今年も『丹波の旬献立』をテーマに、子どもたちが育っている和知地区でとれた栗を使用できるように努めました」 と辻本先生。
また「生産者の方は、『子どもたちのために』と、大変手間がかかりますがわざわざ栗を剥いて納品してくださるんですよ。毎年お世話になっていて、本当に感謝しています」と続けます。
給食に使う食材は、栄養教諭が生産者と直接やり取りをして厳選しています。さまざまな生産者の方の協力により、安心安全な地元の食材を給食に届けることができているとお二人の先生から教えてもらいました。
食育を通して地元への愛着を育む
和知小学校では、給食を通して食育にも力を入れています。食材の知識や生産者の苦労、感謝の気持ちを伝えるだけでなく、栄養バランスや調理方法も考えることができるように指導しているとのこと。
毎年3年生は町内の特産物について1年間を通して学習。その一つが黒豆の栽培です。学校園で黒豆の栽培方法を地域の人に教えてもらい、最後は収穫まで行います。雑草を抜いたり、土寄せをしたり、害獣から守ることを考えたりと、さまざまな体験を通して多くのことを学んでいます。
給食で育む子どもたちの未来
子どもたちの未来を思い、日々の給食に心を込める、栄養教諭の高位先生と辻本先生。
辻本先生は、「食材への理解を深め、生産者の苦労を知り、感謝の気持ちを育んでほしい」と願っています。
掲示物や給食時間の説明に加え、地域の食材マップや新聞も活用し、子どもたちの食への意識を高めています。
「ランチルームに併設された給食センターで、毎日調理員の方々の姿を見ることができるのも、和知小学校ならではです。調理員さんへの感謝の気持ちは、大きな声で『いただきます』、『ごちそうさま』を言うこと、給食レポート(下写真)を書くことなどを通して育まれます。こうした活動をこれからも大切にしていきたいですね」
高位先生は、「さまざまな食育の体験を通して、食への関心を高め、食を大切にする気持ちや、食べることが大好きな子どもたちに育ってほしい」と話します。
「この町を出ていく子どもたちもいるでしょう。でも、社会に出てもこの町で育ったことを大切に思ってほしい。家庭や給食で食べた味を思い出してくれたら嬉しいです」と、優しい笑顔で最後に語ってくれました。
ほくほくとした食感と、上品な甘さ。丹波くりは、秋の味覚の王様として、子どもたちの笑顔を咲かせます。給食を通して、子どもたちの未来を育む和知小学校。そこには、丹波くりをはじめとする地元の食材への感謝の気持ち、そして、生産者の方々への温かい思いがありました。
皆さんもぜひ、秋の味覚の王様、丹波くりを味わってみてください。ホクホクとした食感と、上品な甘さに、きっと心も満たされるはずです。
京都の給食シリーズ
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