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奈良県香芝市下田地区に鎮座する鹿島神社。同社の山車殿に長らく眠っていただんじりが、10月20日、67年ぶりに復活。鹿島神社から下田地区公民館までの300mを曳行しました。
だんじりは高さ2.25m、幅2.55m、奥行4.20mの大きさで、大屋根裏の墨書から嘉永7年(1854)の制作と考えられています。 明治中期に大阪方面から中古で譲り受けたそう。
だんじりを飾る彫り物は堺の彫師「彫又」一門の初代・枡屋又兵衛(1778-1862)の作とされます。奈良県では広陵町馬見大垣内にも同氏作のだんじりが現存しています。
側面や後部を飾る見送りは、源平合戦がテーマで一の谷の戦いや壇ノ浦の戦いでの一幕を描きます。鎌田政光(源義朝の家臣)ゆかりの下田地区にこのだんじりがあるのは偶然か必然か、いずれにしてもすごいご縁ですね!
後部に彫られた「碇知盛」では平知盛が碇綱を体に巻き付け入水するシーンが描かれますが、担ぐ碇を鉄で表現するなどの意匠が施されているのが見どころ。
ほかにも脇障子には藤原景清や熊谷次郎直実、平敦盛らが彫り込まれ、獅子や龍、三猿など縁起物が随所に見られます。
かつては下田地区(旧下田村)を盛大に巡行していたそうですが、昭和32年(1957)を最後に巡行がなくなり、小屋の中で劣化が進んでいました。
“由緒あるだんじりをもう一度動かしたい” そんな思いから、昨年11月に自治会が中心となって保存会を結成。文化庁の補助金助成を受けながら2年をかけて修復が進められています。今年度は土台をメインに屋根や柱の一部を修復。装飾の修復は次年度を予定しています。
秋晴れの好天に恵まれた曳行当日は、太鼓と鉦の音に誘われて地域住民やだんじりファンなど多くの方が訪れ、だんじりを曳きました。
曳行に参加した下田地区在住の男の子(12歳)は「以前から曳いていた子どもだんじりより重くて疲れた。だんじりは細かな部分まで彫り物があってかっこよかった」と話してくれました。
幼少期にだんじりに乗った記憶があるという、下田地車保存会の森田充紀会長は「無事に曳行までたどり着けてよかったです。これからも毎年曳けるようにしていきたいですし、ゆくゆくはかつてのように村中を巡行できればいいなと思っています」と語りました。
一方で、曳行と秋祭りの運営費も含め、修復にはおよそ3,000万円がかかる見通し。文化庁の補助金も受けつつ、保存会では1口1,000円から協賛金を募っています。また装飾の復元に必要な資料として当時の写真や動画も探しているとのこと。ぜひご協力ください。
TEL・0745-78-0050
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