TOP ローカル 兵庫 神戸にある「廃墟」は新海誠監督の最新映画「すずめの戸締まり」の聖地かも?!『旧摩耶観光ホテル(マヤカン)』に潜入!「デスノート」ロケ地や「絶景スポット」などの見どころも

神戸にある「廃墟」は新海誠監督の最新映画「すずめの戸締まり」の聖地かも?!『旧摩耶観光ホテル(マヤカン)』に潜入!「デスノート」ロケ地や「絶景スポット」などの見どころも

神戸観光局が主催する、産業遺産ツアーのモニターツアーに参加し、旧摩耶観光ホテルや、奥摩耶遊園地跡周辺に潜入してきました。

旧摩耶観光ホテルは、廃墟愛好家の間では長崎の軍艦島と並んで日本を代表する魅力的な廃墟といわれており、現在は厳重に管理され、無断で立ち入ることはできませんが、今回はその姿を近くで見ることができました。

また、奥摩耶遊園地跡掬星台(きくせいだい)など、新海誠監督の最新映画「すずめの戸締まり」に関連するかもしれない興味深いポイントに寄り道しつつ、後半に摩耶観光ホテルの歴史とともに、廃墟となった旧摩耶観光ホテルのレポートをします。

予告編の中で登場する「新神戸駅」についての記事はこちらをどうぞ。

もくじ

● 旧摩耶観光ホテルへ行こう

● 映画「すずめの戸締まり」の聖地かも?!

● 摩耶観光ホテルの歴史

● さあ、廃墟の女王にいざ謁見!

旧摩耶観光ホテルへ行こう

さあ、いざ旧摩耶観光ホテルに向かいましょう。

須磨ベルトコンベヤ跡地から移動して昼食をとった後、ツアーのバスに乗ること数十分で「有馬温泉駅」に到着!

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摩耶観光ホテルがあったのは、兵庫県神戸市灘区畑原の、摩耶山中腹あたりです。

「有馬温泉駅」からは六甲有馬ロープウェーに乗って「六甲山頂駅」へ向かいます。

ゴンドラ内には阿部海太郎氏が作曲した心地よいBGMが流れる中、森林の上を進んでいきます。滝の音や鳥のさえずりなど自然の音に耳を傾けてもらえるようにと、アナウンスは、必要最低限にしているそう。

雄大な景色と自然の音を楽しみながら、六甲山の自然を堪能できます。

乗車時間12分とロープウェーとしては長い距離を楽しんでいると、あっという間に「六甲山頂駅」に到着!

「六甲山頂駅」では、今はもう廃線となってしまっている表六甲線「六甲山頂カンツリー駅」を見学することができます。

毛糸で作られた六甲ミーツアートの展示もされており、一緒に芸術鑑賞も。まるでおしゃれな蜘蛛の巣のようです。

今は使用されていないゴンドラ内に入ることもでき、懐かしい気持ちになる人も少なくないんじゃないでしょうか。

近くには以前使用されていた鉄塔も何本か残されており、ところどころ錆びていて、どこか物悲しい感じもします。

鉄塔を見た後は、「六甲山頂駅」からまたツアーバスに乗り、次のポイントへ向かいます。

映画「すずめの戸締まり」の聖地かも?!

次のポイントは、奥摩耶遊園地跡のある「掬星台(きくせいだい)」。そう、摩耶山には昔なんと遊園地があり、その当時の面影が残っている場所がいくつかあります。

1955年の摩耶ロープウェーの開業に合わせて開発され、マウントコースターの他、野外劇場、アイススケート場などがあったそう。

掬星台周辺にはコースターなどの痕跡がいくつも残っており、こちらは以前ジェットコースターとペイントされていたコンクリートの壁面。

苔で長らく隠れていましたが、何か書かれていることに気付き苔を剥がしたところ、この文字が見つかったよう。

ここは、ジェットコースターの軌道が通っていたあたり。急な坂になっているので、クライマックスの部分だったのかも知れません。

今は手すりがあるだけですが、ここも手すりからはみ出るくらいの位置に、崖に沿って軌道があったそう。

当時乗ったことのある人の話によると、スピードがかなり遅く、崖をゆっくりと進んで行くので、逆に怖かったんだとか。

景色は良いですがかなり高度なので、高所恐怖症の人には拷問のようだったんじゃないでしょうか。

こちらは以前、野外劇場があったところの一角です。すり鉢状の構造になっており、10月頃にはアサギマダラ(海を越えて移動する渡り蝶)がここに集まってくるんだそう。

現在は、摩耶自然観察園の入口になっていますが、当時はここにたくさんのお客さんが集い、楽しいステージが繰り広げられていたんだろうなと想像します。

奥摩耶遊園地跡を見学した後は階段を上って、掬星台展望スポットに寄り道します。掬星台からの夜景は「日本三大夜景」の一つといわれているそう。

お天気も良く、ここからは遠くまでくっきり神戸の絶景を望むことができます。

予告編のシーンにあったように、夜になると眺めはこんな感じ。

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映画「すずめの戸締まり」は、17歳の主人公「鈴芽」が日本各地の廃墟で、開き始めた扉を閉めるために、閉じ師の「草太」と一緒に「戸締りの旅」に出るストーリー。

その予告編の中に、ここ「掬星台」からの夜景ではないかと思われるシーンが「0:41」あたりにあります。

現在は摩耶山には遊園地はありませんが、映画の予告編では遊園地の観覧車越しの夜景となっており、1970年代頃までは摩耶山にも遊園地があったんです。

今はなき「奥摩耶遊園地」に観覧車があったころの古い絵ハガキも一緒に見てみると、観覧車越しの夜景が似ているような気もします。

定かではありませんが、「廃墟」をテーマとしていることからも、もしかしたら「奥摩耶遊園地跡」や「掬星台周辺」がシーンの参考にされたかも知れませんね。

さて、美しい神戸の街並みを楽しんだ後は、まやビューライン「星の駅」から「虹の駅」へロープウェーに乗って向かいます。

ロープウェーの途中、一瞬だけ旧摩耶観光ホテルを上から見ることもできるので、見たい人は見逃さないように注意!

「虹の駅」に到着!現在は、副駅名として旧摩耶観光ホテル前と呼んでいるんだそう。

さあ、いよいよ摩耶山再生の会のヘルメットを被って、旧摩耶観光ホテルへ向かいます。老朽化が進んでおり、壁が剥がれて落下してきたりする可能性もあるため、ヘルメットは必須です。

現在、旧摩耶観光ホテルへの道を通るには鍵のかかった柵をいくつか通っていく必要があります。

その柵の鍵を開けるための鍵のキーホルダーが、ホテルの部屋のキーのようなデザインでかわいかったので、思わず一枚写真を撮影。

摩耶観光ホテルの歴史

まずは一旦、摩耶観光ホテルの歴史を振り返ってみましょう。

摩耶観光ホテルは、かつて兵庫県神戸市灘区の摩耶山中腹で営業していたホテルです。建築面積は900.9m2、延べ面積は2054.9m2。

陸屋根に丸窓や塔屋、煙突などが目立つ外観から、営業当時は山の軍艦ホテルなどと呼ばれていたそう。

1929年に開業した摩耶観光ホテルですが、第二次世界大戦の影響や、昭和の3大水害と呼ばれている豪雨などが原因で、2度の休止。その後、復旧し営業を続けましたが、1967年には台風被害などで営業が停止してしまったそう。

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その後、摩耶観光ホテルをどのように利用するのかに注目が集まり、1970年頃から1994年頃まで、摩耶学生センターという名前に変更され、格安で合宿などのために利用されるようになります。

しかし、管理人の体調不良などによって合宿所としての利用も停止され、現在の廃墟の姿になったんだとか。

閉鎖後は廃墟となりましたが、モダニズム建築としての価値が評価され、2021年には廃墟としては初めての登録有形文化財となりました。

さあ、廃墟の女王にいざ謁見!

最初の柵を抜けてもうひと歩きなのかと身構えていたら、柵を超えてほんの数分もしないで、あの廃墟の女王、旧摩耶観光ホテルの姿が目前に!

木々のざわめきしか聞こえない森の中、柔らかい光に照らされるその姿は美しく丸みを帯び、まさに廃墟の女王と呼ばれるにふさわしい姿です。

正面からまっすぐ見ると小ぢんまりとした姿に見えますが、これは旧摩耶観光ホテルが急斜面に建っているためで、実際には斜面の下には巨大な建物が隠れています。見えているのは、4階と3階の部分です。

ホテルは4階建てとなっており、1階部分は半分地下となっています。3階部分には大食堂や娯楽場、浴場があり、4階部分は余興場として利用されていたようです。

3階の内部を、少し寄って見てみましょう。

安全のため中に入ることは出来ないので、正面から内部の様子を見てみます。家具もなくがらんとしていて、ここだけ見るとまるで倉庫のようで、ホテルには見えません。

3階部分には大食堂や娯楽場、浴場などがあったそうなので、この階では浴場を中心とした娯楽や食事を楽しんでいたのかも。

中には入れないとあらかじめ聞いていましたが、下の階の周辺には降りることができるというので、意気揚々と向かいます。

ただ足元は崩れた壁や折れた木片などが大量に散乱しているので、慎重に一歩一歩階段を降りていかなければいけません。

階段を降りて最初に目の前に見えるのが、この光景。白い壁には枯れたツタが絡まっていたり、塗装がはがれてコンクリートがむき出しになっています。

半地下式の1・2階のホテル内の奥の方には、何やら家具のようなものも遠くに見えます。この階には、客室があったんだそう。

中を覗いてみると、昔の面影を感じる木製のドアなどの建具が少しだけ残っているのがわかります。

今は壁もなく、大広間のような雰囲気ですが、以前は壁で客室が区切られていたのかも。

ホテルに沿って少しだけ道を進むことができたので、1・2階の半地下の部分を横からしばし眺めてみます。

こちらからだと、ホテルの姿がより一層わかりやすく、上階の雰囲気も見ることが。

大きな開口部があるので、山側の景色がよく見える眺めの良い客室だったのかも知れません。

ホテル周辺の緑はまだ青々としていて、ツタは着飾るようにホテルに絡まり、草が屋根から生える様子を見ると、自然の偉大さと時間の経過を同時に感じられます。

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旧摩耶観光ホテルは過去に映画デスノートのロケ地に使われたことも。ラストシーンに出てくる「約束の場所」の外観は旧摩耶観光ホテルで撮影したんだそう。

階段を降りる時には気付きませんでしたが、ホテルの一部がこのように柵になっており、中を覗いてみると、ビール瓶などが散乱しているのが見えます。

これは、旧摩耶観光ホテルが摩耶学生センターだったころに、学生たちに提供していた名残なんだとか。

ホテルの正面が望める場所に戻ると、ガイドの人がおもむろに地面から牛乳瓶を拾って見せてくれます。

今では使われていませんが、六甲牧場の牛乳瓶は当時はこのデザインだったんだそう。このデザインを見て懐かしく思う人もいるかも。

これも、廃墟として時間が止まったままの旧摩耶観光ホテルだからこそ触れられる醍醐味のひとつではないでしょうか。

廃墟である旧摩耶観光ホテルが有形文化財に登録され、日本で初めて廃墟の文化財としての価値が公に認められました。今後、観光資源としての有効活用など、旧摩耶観光ホテルがきっかけとなり、日本中の廃墟のあり方が変わるかもしれませんね。

今後、一般向けにツアー販売も開始するそうですので、興味のある人は参加してみてはいかがでしょうか。

◆関連リンク
・旧摩耶観光ホテル – 公式Twitter

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