TOP ローカル 京都 「あじさい寺」丹州観音寺へ古寺探訪〜福知山で話題の展望台へ〜

「あじさい寺」丹州観音寺へ古寺探訪〜福知山で話題の展望台へ〜

2019.06.08

以前、KYOTO SIDEで「あじさいの名所」としてご紹介した福知山市の丹州観音寺。ここにある展望台の名前がユニークと話題となっています。その名も「なげきの展望台」。いったい誰が、どんなことを嘆いていたのでしょうか。併せて、あじさいの季節に訪れたい、丹州観音寺のスポットなどもご紹介します。

京都市内から車で約90分、福知山市東部にある丹州観音寺

関西を代表する「花の寺」

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境内のいたる所で美しく花を咲かせるあじさいに出会えます

話題のB級グルメ「ゴム焼きそば」や2020年の大河ドラマの舞台としても注目浴びる福知山市。丹州観音寺は、市の東部にある奈良時代の720(養老4)年に創建された丹波地方を代表する古寺です。1300年近くの歴史があるこのお寺は、「関西花の寺二十五カ所」の第一番札所としても有名です。特に6月から7月にかけては、約100種、1万株ものあじさいが咲き乱れることから「あじさい寺」としても知られ、毎年多くの参拝客が訪れています。

「なげきの展望台」で嘆いていたのはだあれ?

標高約80mの場所にある「なげきの展望台」

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108段ある階段を登って裏山の展望台へ

今回ご紹介する展望台はお寺の裏山の中腹にあり、もともと電力会社の鉄柱が立っていた場所を約10年前に整備したものなのだそう。標高約80mと決して高いとはいえませんが、「それでも展望台なのだからきっととても気持ちいい景色なのだろう」と多くの参拝客が足を運びました。

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108段を踏みしめるようにゆっくりと登ります

しかし、たどり着いた先には雑木林が生い茂り、遠くの山々はおろか近くの景色すらまともに見ることができませんでした。

「せっかく登ったのに…、何も見えへんやないかー!!!」

という参拝客の嘆きは、山の麓にいる住職の小籔実英さんの耳にまで届き、「がっかりさせてしまって申し訳ない…」と胸を痛めていました。そんな参拝客の嘆きを度々聞いていたある時、住職の頭にこんな言葉が浮かんだそうです。

「苦労を乗り越えた先に何かあると期待をしてしまうが、『何もない』というのも人生。でも、『何もない』とは『無事』なこと。自然災害や戦争に遭うことなく平穏に生きられるのが一番の幸せじゃないか。」

詩や絵画などでも知られる住職。早速、言葉を文章にまとめ、展望台に掲示しました。すると参拝客から嘆きの言葉を耳にすることが段々減っていき、今度は「80を過ぎてこの展望台までたどり着けたことが嬉しかったです!」「今度生まれる子が『無事』に育ちますようにとお祈りしました。」など、今まで聞くことのなかった前向きな言葉をかけてもらえるようになったそうです。

参拝客が道筋をつけてくれた「なげきの展望台」 

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無事であることを祈る祠(ほこら)

住職自身にとっても「なげきの展望台」を通じて、様々な発見や出会いが生まれたと語ります。

「たとえば、展望台へと続く108段の階段も私が意識して作ったんじゃなく、たまたま段数を数えてみたら『108』、つまり煩悩や除夜の鐘の数と同じだったんです。そのことを知ったときは、ご縁だと感じました。展望台が生まれる道筋をつけていただいた参拝客の方はもちろん、景色が見えるように木々の枝を剪定してくれた方や、お地蔵様を寄進していただいた方…。多くの方々がいたからこそ、今の『なげきの展望台』があると感謝しています。私にとっては『喜びの展望台』ですね。」(小籔住職)

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かわいいイラストの絵馬も奉納できるように

さて、「なげきの展望台」から見える景色は、一体どんなものなんでしょうか。一体どんな言葉を住職は掲示板に書いたのでしょうか。ぜひ丹州観音寺まで足を運んでほしいので、ここでは、敢えてどんな景色が見えるかは秘密にしておきましょう。

住職の言葉を読んで思いを巡らせたり、祠をお参りしたり、無事であることを祈る絵馬を奉納したり…。静かな時の流れを感じながら、平穏無事に過ごしていることの素晴らしさを実感することも、時には必要なのかもしれません。ぜひ丹州観音寺を訪れてほしいと思います。

展望台と一緒に訪れたい!丹州観音寺の見所

梅雨の季節はやっぱり「あじさい」!

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境内に咲く色とりどりのあじさい

この季節、なげきの展望台まで足を運ぶなら、可憐なあじさいの花をゆっくりと楽しんでみてはいかがでしょうか。特におすすめは、仁王門から続く参道や七観音巡りの小道。道の両脇にあじさいが咲き誇る景色は、まるで万灯を思わせる美しさです。Facebookの公式ページであじさいの開花情報を随時更新しているとのこと。ぜひチェックしておきましょう!

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窓ガラスに映るあじさいも綺麗!

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かわいいハート型のかわいいあじさいに出会えるかも

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「小国鶏」(しょうこくけい)とあじさいが織り成す景色は、まるで伊藤若冲の世界のよう
6月23日(日)にはあじさいまつりを開催!

また、6月23日(日)には、この時期恒例の「あじさいまつり」を開催予定。アトラクションや小籔実英住職による心安らぐ法話などが行われ、多くの人でにぎわいます。お祭りの日に合わせて訪れるのもいいですね。

並ぶ姿がフォトジェニック!本堂で授かる「だるまみくじ」

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本堂の格子にズラリと並ぶ「だるまみくじ」

あじさいと並ぶ境内のフォトスポットが、本堂の格子のスペースに所狭しと並べられた「だるまみくじ」。おみくじを格子のスペースに埋めるきっかけとなったのも、お寺を訪れた参拝客なのだとか。もちろん持ち帰りも可能ですが、多くの方がだるまの背中に願い事を書いて格子に並べるのだそうです。

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コロコロしたフォルムもかわいい!

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「ご縁が結ばれますように」

励ましのメッセージが心に響く「にぎり花仏さま」

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木の香りを感じられる「にぎり花仏さま」

丹州観音寺を訪れたらぜひ授かりたいのが、おみくじのように箱の中から手探りで引く「にぎり花仏さま」。裏に書かれたメッセージが、あなたの心にきっと届くはず。ちなみに私が引いたにぎり花仏さまには…、

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「腹をくくれば強くなれる」

うん、確かに!色々な場面で弱気になりがちな私にぴったりの力強いメッセージでした。ありがとうございます!

 

参拝客の「せっかくここまで登ったのに、ちっとも景色が見えない!」というぼやきから生まれた「なげきの展望台」。でも、何もないことこそ「幸せ」。そんなことを教えてくれる素敵なスポットでした。あじさいが美しく咲き誇るこの時期、ぜひ福知山の丹州観音寺に足を運んでみてくださいね!

 

■■INFORMATION■■

補陀洛山 丹州観音寺
住所:京都府福知山市観音寺1067
拝観時間:9:00~17:00
拝観料:350円(あじさい期間のみ)
電話:0773-27-1618
 アクセス
●JR→徒歩の場合/JR山陰本線石原駅から徒歩15分
●JR→バスの場合/JR福知山駅またはJR綾部駅からバスで15分。「観音寺」バス停から徒歩10分
●車の場合/舞鶴若狭自動車道福知山I.C.から綾部方面へ5分

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